あれは日曜日の午後、のんびりと昼食の片付けをしていた時のことでした。尼崎から排水口をすれば漏水した水道修理にもシンクに溜まった水を流そうと栓を抜いたのですが、渦を巻くはずの水が、まるでそこに留まることを決めたかのように、ゆっくりとしか減っていきません。そして、どこか遠くから聞こえる「ゴボッ…ゴボッ…」という不吉な音。排水管が詰まりかけている、紛れもないサインでした。「これくらいなら自分で何とかなるだろう」。普段からDIYには多少の自信があった私は、高を括ってこの見えない敵との戦いを開始したのです。 最初の作戦は、市販の液体パイプクリーナーに頼ることでした。ドラッグストアで一番強力そうなものを選び、ラベルの指示通りにたっぷりと流し込み、三十分ほど待機。これで頑固な油汚れも溶けてくれるはず、と期待に胸を膨らませて水を流してみましたが、状況はほとんど変わりません。水の減っていくスピードがほんの少しだけ速くなった気もしましたが、根本的な解決には至っていないことは明らかでした。初戦は私の完敗です。東大阪でも水漏れトラブルに評判の専門チームがここで引き下がるわけにはいかないと、私は次の作戦に移りました。押し入れの奥から引っ張り出してきたのは、伝家の宝刀「ラバーカップ」です。シンクに水を張り、排水口にカップを密着させて、渾身の力で押しては引く、を繰り返します。しかし、相手もなかなかの強敵。数回の格闘の末、一瞬だけ「ゴボッ!」と大きな音を立てて水が流れ始めましたが、それも束の間、すぐにまた元の鈍い流れに戻ってしまいました。 この時点で、私の額には汗が滲み、自信は焦りへと変わり始めていました。シンクだけの問題ではないのかもしれない。ふと嫌な予感がして、洗面所、そして浴室の排水口も確認してみることにしました。すると、案の定どちらも水の流れが普段より明らかに悪くなっているのです。ここで私はようやく事の重大さに気づきました。これは、個別の排水管の末端で起きている小さな問題ではなく、家全体の排水が集まるもっと根本的な部分、つまりは屋外の排水マスや、それに繋がる主管で何かが起きている可能性が高い、と。そうなると、もはやラバーカップや市販のクリーナーで太刀打ちできるレベルではありません。素人が下手に手を出すと、事態をさらに悪化させかねない領域です。 潔く白旗を掲げた私は、スマートフォンの画面をなぞり、専門の水道修理業者に連絡を取りました。到着したプロの作業員の方は、私の苦闘の跡が残るキッチンを一瞥すると、すぐに屋外の排水マスの蓋を開け、専用の点検カメラと高圧洗浄機を準備し始めました。原因は、長年の油汚れや細かなゴミが合流部分で固まり、大きな塊となって管を塞いでいたことでした。高圧洗浄機が轟音を立ててから数分後、家中の排水口から聞こえる水の流れる音は、驚くほどスムーズで心地よいものに変わっていました。今回の戦いで私が得た教訓は、自分で対処できるつまりと、プロに任せるべきつまりを正しく見極めることの重要性です。一つの場所だけでなく、複数の水回りで同時に異常が見られる時は、迷わず専門家を呼ぶべきなのです。私の日曜午後の奮闘は徒労に終わりましたが、そのおかげで大きなトラブルを未然に防ぐことができたのかもしれません。
我が家の排水管戦争その詰まりは自分で治せるか