今思えば、あの頃から少しずつ異変は始まっていたのかもしれません。お風呂場を使っている時に、以前はしなかったキシキシという床鳴りが気になりだしたり、脱衣所との境目あたりを踏むと、何となく沈むような違和感があったり。能勢町は漏水した水道修理を配管交換することで、築年数も経っているし、湿気が多い場所だから仕方ないのかな、と深く考えずにいました。それと同時に、毎月の水道料金が、特に思い当たる節水努力をしていないのに、じわじわと上がってきていることにも気づいてはいたのです。まさか、それらの異変が、見えない場所でひっそりと進行していた水漏れのサインだったなんて、その時は思いもよりませんでした。 いくつかの月が過ぎ、床の違和感は明らかになり、キシキシという音はブヨブヨという感触に変わってきました。これはもうおかしい、と危機感を抱き、お風呂場の床下についてインターネットで検索したのです。そこで目にしたのは、「床下の水漏れは建物を腐らせる」「カビやシロアリの原因になる」「修理費用が高額になる」といった、不安を煽るような情報ばかりでした。自分の家にも、そんな深刻な問題が起きているのかもしれない。そう思った途端、背筋が凍るような思いがしました。 いてもたってもいられなくなり、慌てて水道修理の専門業者に連絡し、床下水漏れの調査をお願いしました。業者の担当者は、まず床下の点検口からカメラを入れて内部を隅々まで確認し、さらに音聴棒という特殊な器具を使って配管から漏れる水の音を丁寧に聞き分けていきました。そして、数十分の調査の後、担当者から告げられたのは、やはりお風呂場の床下にある給水管の古い継ぎ目から、ごくわずかではあるものの水が漏れている、という事実でした。長年の経年劣化が原因とのことでした。原因が特定できて安堵したのも束の間、次に提示された修理費用の見積もりを見て、私はまたしても大きなショックを受けました。 提示された金額は、正直に言って、想像していたよりもはるかに高額でした。なぜこれほどかかるのか尋ねてみると、まず漏水箇所を正確に特定するための専門的な調査費用がかかること、そして何より、漏れている給水管の継ぎ目にアクセスするためには、お風呂場の床材を剥がし、床下の木材の一部を解体する必要があること、さらに修理後には解体した床を元通りに復旧するための工事費用がかかること、そして残念なことに、水漏れが長期間続いていたため、床下の木材の一部に腐食が見られ、その補修費用も含まれている、ということでした。 あの時、最初に小さな異変に気づいた段階で、すぐに専門家に相談していれば、床下の腐食が進むこともなく、修理の規模も小さく済んで、費用もこれほど高額にならなかったかもしれない。そんな後悔の念が強く胸に突き刺さりました。お風呂場の床下の水漏れは、見えない場所で起こるからこそ、早期発見と早期対応が何よりも大切だと、今回の経験から痛感しました。もし、あなたのお風呂場や水道代に少しでも気になる異変があるなら、不安を抱え込まずに、できるだけ早く専門業者に相談することをお勧めします。複数の業者から見積もりを取ることも大切ですし、加入している火災保険や自治体の補助金制度なども確認してみることも、費用負担を軽減するためには有効な手段となります。見えない場所のトラブルは、見えない費用となって私たちに襲いかかってくることがあるのです。