トイレットペーパーの量に気をつけ、流してはいけないものも流していない。それなのに、どうも最近トイレの流れが悪い、詰まりやすくなったと感じることはないでしょうか。その原因は、目に見える便器の中ではなく、その奥に広がる排水管の内部に潜んでいるのかもしれません。長年使い続けるうちに、排水管の中には見えない汚れが徐々に蓄積し、水の通り道を静かに狭めていきます。これが、慢性的な詰まりやすさを引き起こす隠れた元凶なのです。 排水管の内部に溜まる汚れの代表格が「尿石」です。尿に含まれるカルシウム成分が、便器や排水管の表面で結晶化し、石のように硬くこびりついたものです。特に男性が立って用を足すことが多いご家庭では、便器の縁だけでなく、見えない排水管の内部にも尿が飛び散り、尿石が生成されやすくなります。最初はごくわずかな付着でも、そのザラザラした表面がトイレットペーパーの繊維などを引っ掛け、さらに汚れが蓄積する足がかりとなってしまいます。こうして尿石は時間をかけて少しずつ成長し、排水管の内径を狭めていくのです。 この見えない汚れへの対策として有効なのが、定期的なパイプクリーニングです。アルカリ性の性質を持つ尿石には、酸性の洗浄剤が効果を発揮します。市販されている尿石除去用のトイレ洗浄剤を月に一度程度使用することで、固着し始めた初期の尿石を溶かし、深刻な蓄積を防ぐことができます。また、髪の毛やヘドロ状の汚れを溶かす効果のある、アルカリ性のパイプクリーナーを定期的に使用することも、排水管全体の衛生状態を保つ上で有効です。ただし、これらの洗浄剤は強力な化学薬品であるため、使用の際は必ず製品の指示に従い、換気を十分に行うなど安全には最大限配慮してください。 もし、こうした定期的なセルフケアを行っても流れの悪さが改善されない場合は、汚れがかなり進行している可能性があります。長年にわたって硬く蓄積した尿石や汚れは、市販の洗浄剤だけでは完全に取り除くことが困難です。その際は、専門業者が行う高圧洗浄など、より強力な手段を検討する必要があります。目に見えない場所だからこそ、意識的なメンテナンスが、トイレを詰まりの不安から解放し、長く快適に使い続けるための鍵となるのです。