トイレが詰まる直接的な原因として最も多いのは、やはりトイレットペーパーです。水に溶けるように作られているはずなのに、なぜ詰まりを引き起こしてしまうのでしょうか。その答えは、一度に流す量だけでなく、私たちが日常的に何気なく選んでいるトイレットペーパーの種類そのものにも隠されています。全てのトイレットペーパーが同じように水に溶けるわけではなく、その特性を理解して選ぶことが、実は効果的な詰まり対策の第一歩となるのです。 スーパーの棚には、シングルやダブル、さらにはトリプルといった厚さの違うもの、香り付きや柄付きのものなど、多種多様なトイレットペーパーが並んでいます。この中で、詰まりやすさという観点から注意が必要なのは、厚手で吸水性の高いタイプです。特にダブルやトリプルといった製品は、肌触りの良さを追求する一方で、繊維の密度が高く、一度に多くの量を使うと便器の中でほぐれにくく、大きな塊となって排水管に流れ込んでしまう傾向があります。また、デザイン性を重視した海外製のトイレットペーパーの中には、日本の厳しい品質基準(JIS規格)ほど水解性が高くないものも存在し、日本のトイレの排水能力では詰まりの原因となりやすいケースが見受けられます。 では、どのような製品を選べば良いのでしょうか。詰まりにくいトイレを目指すなら、基本的にはシングルのトイレットペーパーを選ぶのが無難な選択と言えます。シングルはダブルに比べて薄いため、同じ長さを使っても全体の体積が小さく、水に触れた際に比較的速やかにほぐれやすいという利点があります。また、使いすぎを防ぎやすいという心理的な効果も期待できるでしょう。製品を選ぶ際には、パッケージにJISマークが表示されているかを確認するのも一つの目安になります。 もちろん、どんなに溶けやすいペーパーを選んでも、一度に大量に流してしまえば詰まりのリスクは高まります。大切なのは、自分の家のトイレの水の流れの強さを把握し、それに合った製品を選び、そして適量をこまめに流すという基本的な使い方を徹底することです。日々の小さな選択と習慣が、突然の厄介なトラブルからあなたを守ってくれるのです。
トイレットペーパーの選び方が詰まりを防ぐ鍵